俺の育った場所

いつか

俺が音楽で食っていけるようになったら

鼻高々に

おばちゃんに会いにいくんだ

そして昔の

思い出話をするのさ

それが夢さ

 

雨が降ろうと槍が降ろうと

スタジオに通ったよ

いやな顔せず

あけてくれたっけ

時間にだらしない俺たちに

ゆっくりでいいよって声かけてくれた

ある時は

あたし見たいテレビあっからさ

やってていいよって

夜中まで

 

手書きの予定表

毎週決まった曜日の決まった時間は

ひと月先もふた月先も俺たちの名前がもう入ってた

暑い夏はジュース

寒い冬はお餅に厚揚げ

旅行のお土産くれたっけ

ラーメンおごってくれたっけ

お年玉もらったっけ

 

初めて作った音源を

いの一番に買ってくれたのはおばちゃんだった

俺たちが

曲を作ったのも

録音したのも

だべってたのも

喧嘩したのも

 

俺はここで育った

俺の音楽はここで育ったんだ

 

そうか

もうドリームにいっても

おばちゃんはいないんだな

夢は果たせなかったよ

ごめんね

おばちゃん

 

雲の上のスタジオでまっててよ

俺いくからさ

本当に長い間

ありがとうございました

お世話になりました

さようなら